I-130申請中の渡米(後編)

レッドカードと共に別室へと案内された場所は待合室のようなところだった。出入口は入ってきた一つしかなく横の受付らしき場所には怖そうな人が終始鎮座している。

座って待っているように伝えられる。私の他には誰も居らず50席程ある待合室で1人何も余計なことを考えないようにボーッとしていた。

すると待合室に繋がっている個室行きの廊下から泣き声が近づいてくる。『oh, my baby, my baby』と言っているっぽい。屈強な黒人女性と共に待合室に戻ってきたアジア人女性は泣きながら『I just want to see my baby!』と黒人女性に訴えている。彼女は表情ひとつ変える事なく座って待つように伝えている。なんとなく理解した。多分在米中に子供を産んで単身でアメリカを出て正式なVISA申請の途中か、もしくはVISA申請してないかで入国しようとして揉めているんだろうな。

それにしても泣きながら訴えているのに表情ひとつ変えない職員に正直ビビった。もし私の担当があの職員だったらどうしよう……怖くて上手く喋れなくてあれよあれよと誘導尋問されて強制帰還もしくは逮捕(なぜ?w)とかされるんじゃないかと言う最悪の妄想がスタートしてしまった。個室への廊下を見つめいったいどんな職員が呼びにくるのか最悪の気分のなか30分ほど経っただろうか。屈強な白人女性がやってきて私の名前を呼んだ。あ、私です。と怯えながら立ち上がると彼女はニッコリ笑って『Follow me』と個室へ案内した。とりあえずあの黒人女性じゃないし笑いかけてくれたしもしかすると大丈夫かも?淡い期待が湧く。

個室へ通されるといつの間にか私の後ろにいた小さな男性職員が出入口に立ち、白人女性が私に対面するようにデスクの反対側へ着席した。

ちょっと質問させてねーな感じで入国審査カウンターで受けた質問をもう一度される。同じようにアメリカ人の夫がこっちにいて、まだVISAの申請中だけれど毎年お祝いしているサンクスギビングまでに間に合わなかったから観光ビザで来た旨を伝える。

夫は何をしているの?どこに住んでいるの?職場はどこ?彼の家族は?など彼にまつわる情報を聞かれた後に私に対する質問が始まった。

仕事、住んでいる場所、生まれた場所、どうしてそんなに長く休めるのか、帰りのチケットの有無、チェックイン荷物の中身見せて(第三の職員が2つの大きなスーツケースを届けてくれた。)

どれも想定していた事なので帰りのチケット(返金可😏)も荷物の中身(本命は少しずつ3ヶ月掛けて計8箱をすでに輸送済)も沢山のお土産と1週間分の服など怪しくない事を証明した。

すると男性職員がニヤニヤしながら『でもさグラフィックデザイナーなら何処でも仕事出来るでしょ、別に日本に帰らなくても良くない?』といやらしい質問を投げてきた。

いやらしい聞き方にちょっとムカついたけれどその質問も想定していたので『私には持病があって渡米するにはまだ準備が出来ていない、薬も2ヶ月分しか持ってきていない』と持病の薬を2瓶出してみせた。『まだ私の家族とのお別れの準備も出来ていないのにこっちに住むのは無理です』と伝えると同情の表情で『あ、それはごめんね、そっかぁそれは大変だね』と急に塩らしくなった。

2ヶ月分とは別で半年分の薬はお土産の中身とすり替えて持ってきたし、家族ともちゃんとお別れしてきているんだけどね。

男性職員も女性職員もこれ以上の質問はなさそうね、と言うような雰囲気になった所で女性職員が『最後にあなたの夫に電話を掛けても良い?』と聞いてきた。これは想定外だったが勿論OKした。夫曰くメチャクチャ驚いたし緊張したそうな。質問は私にした質問内容に齟齬がないかを確認したらしい。(電話は個室の外でされていたため私には聞こえなかった)

電話が終わると『乗り継ぎ便の時間は何時?』と聞かれ、あと30分ちょっとしかないから急ごう!とあれよあれよと携帯とパスポートを返され、乗り継ぎ用預かり荷物カウンターへ走らされ無事に乗り継ぎ便へ滑り込んだのでした。

あんな経験は一度で十分ですわ……。

ちなみに荷物は間に合わなかったのか私の次の便で届きました(苦笑)Phoenix空港で2時間以上、迎えにきてくれていた夫と待ったわ!

今はグリーンカードを持っているのでメキシコ旅行から帰った際も何の問題もなく、なんならあのカウンター職員は私のグリーンカードを確認する事なく通したわ……。夫と一緒にカウンターに行ったんだけれどパスポートだけだして『グリーンカード持ち?あそう。オッケー』ってそれだけだった。ザルかよ!

Diaryグリーンカード